10月の特集『壁のイコン』

内側はすべて真っ白に上塗りされて、現在は別業種の店舗に転用されているが、外側は元の塗装が残っていた例。右端の部分だけ塗装が新しいのは、転用時に内側と同様にぬりつぶした部分。隣接して家屋があったのが取り壊されて、あとからこの壁が出てきたものらしい。
 退色しやすい赤の塗料が褪せることなく鮮やかに残っている。トリコロールが青空によく映えて、まるで汽船の船体を眺めているようだ。

職人が一所懸命に真似て描いた手書き文字とツバメのマークが、どことなく不揃いなところにも親しみを覚える。

旧丸善石油・廃止店舗・千葉県

次のページ