蝙蝠と星の陰に赤い馬

遅い夏休みをやっととることができて、九州北部・西部の給油所を巡ってきた。天候にも恵まれすっかり季節外れの日焼けをしてしまった。

この写真は福岡県南部のとある国道を走っていて偶然遭遇した古い日石の給油所跡。国道といっても水田の中を走っているところは道路幅も十分に広いが、ちょっと集落に入ると車同士がすれ違うのも難しいほど狭い部分もある。この給油所はまさにそんな狭隘部分にひっそりと残っていた。

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防火壁だけでなく、セールスルーム部分もすべてブロック積みでできているところから、昭和20年代後半から30年前後の建築と思われる。両側の防火壁に旧CALTEXのマークが残っているが、思わず息が止まるほど驚いたのは、左側の壁だ。

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CALTEXのマークの下にひっそりと隠れているのは、スタンダード石油の赤いペガサス。戦前からあったスタンダード・ヴァキューム石油(スタンバック)が昭和36年に再編成されて、Mobilとエッソ・スタンダードに分割されるまではこの意匠が使われていた。つまりこの給油所は開業してしばらくはスタンダード石油のサインで営業し、昭和30年代の初めから中頃に日本石油にサインを変更したようだ。ちなみにこの時期の赤馬は左向きが正式で現在のMobilとは向きが逆。

日本石油のサインでどれぐらいの間この給油所が営業していたかはわからない。この左側の壁にも右側の壁にもCALTEXマークは大きさの異なるものが二つ判読できるので、少なくとも一度は塗り替えられたことがわかる。

いつか国道の拡幅工事が行われれば、確実にこの壁も建物も取り壊されるに違いない。その前に間に合ってよかった。

2 Comments

  1. こんにちは

    なかなか面白いサイトですね
    最近、フルマラソンを目指してランニングをしているのですが、トイレや給水のためにGSを利用したりしてます。

    ドライブの給油時には気が付かなかったようなことに気づいたり….

    時代の変遷を感じたり….

    あと5年もしたら、街のタバコ屋さんのようにほとんど見かけることも無くなるかもしれないですね

  2. ご覧いただき、ありがとうございます。
    たしかにガソリンスタンドはガソリンを売るだけではなく、
    走る人、歩く人の給水スポットとしての役割もあると思います。
    最近はコーヒーショップやコンビニ併設のところも増えていますので
    うまく利用すると便利ですね。

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