ガソリンスタンド・ノートについて

このサイトはガソリンスタンドの建物が持っているすばらしい魅力を紹介するために作りました。
日本にはかつて6万店ものガソリンスタンド(給油所)がありました。その数のピークは1994年頃にあったと推定されていますが、現在は3万店を下回っています。とくにこの数年は給油所の廃業が加速化し、毎年多くの店舗が営業を止めているのが現状です。
ガソリンスタンドがもっとも増えた時期は、昭和40年代です。現在営業している給油所の約半数は、この時期にオープンしたと言われています。そして個人経営の小規模な店舗が続々と開店したのもこの頃です。
ガソリンスタンドの建物は厳しい建築基準をクリアしなければならず、また石油ブランド各社の店舗デザインのガイドラインにも適合した設計が必要となります。それだけでも画一化された建築デザインにおちいりそうなものです。実際、最近増えているセルフ・サービスの給油所は、合理性とコストダウンを追求した結果、どの店舗を見てもほとんど同じような設計になっています。
ところが古い給油所はガイドラインこそ踏襲しているものの、実際の設計・施工はその地域のローカルな建設業者にまかされたものが多かったこともあって、よく見るととてもユニークな建築が数多く存在します。また、長いあいだ営業を続けて行くうちに改築を行ったり塗装をやりなおしたり、油のシミやキズなどが加わって独特の味わいが出てきます。それはまるで道具のように、使う人の個性が現れたものとなるのです。
建築基準とブランド意匠という2つの不自由な規制の枠の中で、せいいっぱい個性を発揮している。そこが古い給油所の持つ魅力です。残念なことにその多くは、老朽化、建替え、あるいは経営上の問題などによって消えていく運命にあります。日本の経済が高度に成長した一時期をささえたエネルギー・インフラのひとつとして、ガソリンスタンドがあったことの事実を、給油所の写真を通じて記録して行きたいと考えています。

制作者(松村 静吾)

125ccのスクーターで移動しながら、ガソリンスタンドの鑑賞と撮影をしています。高速道路には入れませんが、これぐらいのサイズが小回りもきいて給油所をつぎつぎと巡るのにはちょうどよいのです。
『こんなすてきなガソリンスタンドがある』という情報がありましたら教えてください。また、ご覧になった感想なども聞かせていただけるとうれしいです。

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