ツバメの通う道

アルバム10年3月31日「ツバメの通う道」を追加

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fswr この給油所の整備室には開いたコウモリ傘が逆さに天井から吊るされている。何のためかと尋ねると、「ちょうどあの真上にツバメが巣をかけてるんで、お客さんの車の上にフンが落ちないようにしてる。」という返事。そういえばセールスルーム脇のトイレのドア付近にも巣箱がかけてあった。「ああ、あっちの巣箱は飾りみたいなもんだね。鳥はみんなこっちにきちゃう。」

給油所は鳥達が好んで造巣する条件が揃っている。接道面が大きく空にむかってひらけているので飛んで出入りしやすいし、キャノピーや複雑な形状の屋根は巣をかけるにはもってこいの雨除けとなる。

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この濃褐色のタイル壁が美しいMobilの給油所でも、整備室の天井にツバメの巣があった。「とつぜんバサッていう音がするもんだから、何だろうと思って見に行くと床に青大将が落ちてるわけさ。奴は鳥の巣を狙って壁づたいに登ってくるんだね。それはうまいもんさ。だけど天井は渡れねえな。ヤモリじゃないんだから。」

「毎年冬が近くなってツバメの一行が南に旅立つときは、毎年必ず店の前の電線に一列に並んでこっち向いて挨拶してから飛び立っていくんだ。可愛いもんだね。」

Mobilの給油所は庇の下に Mobil Service の立体文字が取り付けられているものが多い。その庇と文字の間の狭い空間に、小鳥は好んで巣をかける。
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この給油所ではService の i の文字と庇の間に巣をかけられたことがあったので、フンの落下を除けるためなのかその i の真下に小さな板が取り付けられていた。あるいはその板上に営巣を促そうとしたのかもしれない。(2008年9月撮影)

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ところが次に訪問してみると(2009年11月撮影)、目論見は外れてこんどは Mobil の l と庇の間に巣がかけられていた。大文字のSのてっぺんはさすがに落ち着かないと思うが、M や v の凹みなどは巣をかける足場としては具合がいいんじゃないかと思う。しかし意外にも日本全国どこに行っても鳥に好まれているのはきまって i か l の上だった。他のブランドでは文字はペイント塗りか耐候性のシート貼りでフラットに仕上がっているため、軒下にへばりつくように営巣しているものはあっても、立体文字のMobil特有の巣のかけかたは見られない。

ところで建物外壁の庇の下ならばよいとしても、 整備室内の天井に営巣した場合は、毎日の閉店後や休業日にシャッターを降ろしてしまうと、鳥は出入りできなくなる。どうしているのか聞いて見ると「夕方、鳥が出入りするのはだいたい営業時間のうちだからね。夜はシャッター閉めても大丈夫。でも朝は早いよ。開店の時間よりもうんと早くシャッターを開けてやんないとね。」

小鳥達のためにわざわざ早朝にシャッターを開けている人の姿を思い浮べた。