北海道の海沿いにある小さな集落の外れで、往時はモダンな外観であったことをしのばせる廃業した美容室に出会った。

すでに壁の一部は剥がれているが、廃業後に店舗部分のすべての窓を覆うように打ち付けられた板のおかげで、建物がひどく荒れている様子はない。
本格的な冬が来る前のある日、板材を小さなトラックに載せてここにやってきて、採寸しては板を切って調え、おそらくはそれほど長くはなかったであろうこの店舗のささやかな歴史に最後の封印をするように、板を打ち付ける几帳面な仕事をした一人の老いた大工のことを想像した。