飲食店街のネオンと喧騒を離れて、暗く細い路地をひとり歩いていると、偶然古い美容院の前を通りかかった。そこだけ明るく照らされているのは水銀灯でもあるのかと振り返って見上げると、ちょうどビルの谷間から顔をのぞかせた煌々と輝く満月の所為だった。
まるで油絵のような壁肌の陰影。
窓辺の花瓶と水差し。
月に咲く花のように。