別に飛行機で飛ぶことが怖いわけではないのである。ただ、なんとなく飛行機に乗るのが気乗りしないというか、なぜだかわからないが空港に行って搭乗ゲートを通って飛行機に乗り込むという一連の作業が、どうしても好きになれないのだった。そしてそのイヤな感じというのがここ1年ぐらい、ますます強くなる傾向にあった。

不思議なことに、海外に出かけるために成田に向かうときにはそういう感じが起こらない。
それは海外旅行だからというわけではなさそうだ。海外でも出張のときがあるし、国内でも個人旅行で飛行機に乗るわけだから、仕事なのか遊びなのかということとは別の問題のようだ。

ずっとその理由がわからないまま、いつもなんだかモヤモヤしていたのだが、先日ようやくわかった。原因はQRコードなのだった。

数年前からANA国内線の搭乗はチケットレスになり、ネット予約した画面をプリントアウトして持参すれば搭乗できる。そのプリントアウトにQRコードが埋め込まれていて、それが重要な識別子となっているわけだが、このQRコードが心を乱す原因だということに気がついた。だから飛行機に乗るのが鬱陶しいというか、気が重くなっていたのだ。(JALには乗らないのでそっちの事情はわからない。また国際線もANAに乗ることが最近ないので気がつかなかったのだ。)

ひとことで言ってしまえば、これが怖いのである。これを見たくないのである。
だって不気味じゃないですか?バーコードはあんなにお洒落でかっこいいのに、どうしてQRコードってこんなに醜悪で邪悪で陰惨な面構えなのだろう。ねえ、そう思いませんか?これから快適な空の旅を楽しもうというときに、なぜこんなに醜い紋様に何度も目をやらなければならないのか。
バーコードが眉目秀麗だがちょっと身体の弱い姉だとすれば、QRコードは頑丈だけが取り柄のいまひとつ可愛くない妹のようなものだ。

なにがQRコードをそんなに邪悪なものにしているのかというと、明らかにこの三隅にある四角い目玉のようなものがいけないのだと思う。ある種の蛾の羽にみられる目玉のような紋様にも似ている。それにその他の部分にも、じっと見ているとときどき人やケモノの顔のようなものが浮かび上がることもある。

しかし、そのとき妙なアイデアが浮かんだのだ。ベランダに飛来するハトは糞にダニが沸くといって迷惑がられているが、ハトは丸くて目玉のように見えるものを怖がると信じられていて、ホームセンターなどに行くと目玉の風船のようなハト撃退グッズが売られている。飛行機もエンジンのエアインテーク部分のスピンナーに、鳥がいやがるウズマキ模様を描くことで、野鳥がエンジンに吸い込まれるトラブルが減少するという。

そこでだ。人間が見てもこれほど邪悪で醜悪なものを感じるのだから、もしかすると巨大なQRコードをベランダや田んぼにぶら下げておけば、ハトやその他の鳥達も寄りつかなくなるのではないかと思いついた。
おお、これはもしかするとすごいアイデアかもしれないぞ。