宿場町として知られた町の中心からちょっと脇に入った住宅地の中にある理髪店。このシリーズの読者の方から教えていただき、さっそく訪問した。

BARBER Furukawa

ドアを開けると、石油ストーブの上に乗せた薬缶が湯気をたてていて、理髪店独特の整髪料や乾いたタオルの匂いが、ストーブの暖気でさらに強調されて感じられる。
丸椅子に腰を掛け、テレビを視ながらお客さんを待っていたのは、年配の女性店主。店内は広いが、年季の入った理髪台がその中央に一つだけ据えられていて、面白いことに床は板張りで、履物を脱いで上がるようになっている。

外から見ると、板床の高さで正面の窓は掃き出しになっている。そして前傾するように窓ぜんたいに傾斜をつけてあるところが、ちょっと粋である。
自分が子供の頃住んでいた町内にもこれとよく似たデザインの家があって、昭和30年代初めの建築だったことを思い出し、この理髪店の開業した年を聞いてみると、まさしく昭和32年という答えだった。