会津地方のとある町の裏通りにあった建物。すでに屋号や看板はなく、回転三色灯がなければかつて理髪店であったこともわからないような店舗だが、それでもよく見ると窓の作りやぜんたいの造作に、床屋らしい雰囲気があふれている。
入り口の扉は引き違い戸になっているが、それにしては間口が中途半端な幅なので、もとはおそらく親子扉(幅が大小異なる両開きドアで、幅の狭い子扉のほうは通常固定しておく)だったものを廃業後に取り換えて補修したものかもしれない。
あらためて見ると無愛想なほどに実直で端正な表情をしている。会津の人の性格を映し出しているようだ。