夏になると入道雲を見るのが楽しみだ。
東京で見る入道雲は、はるか遠く房総半島のさらに向こうにあって、追いかけても追いかけても近寄ることができないような気がする。

甲府盆地は文字通り山が屏風のように四方を囲んでいることもあって、どの方向を向いても立派な入道雲が湧き上がり、むくむくと盛り上がって刻々と形を変えていく雲に手を伸ばせば、かんたんに届きそうな感覚がある。毎年盛夏になると、甲斐の国に行きたくなるのはそんな理由があるからだ。

yamabiko

これは甲府市内で見かけた旅館の看板。ただ見あげているだけで、遠くから山彦が聞こえてきて、涼風が吹くのを感じるような文字が並んでいる。誰がこの爽快感あふれる文字を考えたのだろう。この旅館のご主人だろうか。

数年前の夏に甲府の郊外で見つけた廃止された農協の給油所を、もう一度見たくなって訪ねてみた。しかしあの日と同じように入道雲はぴかぴかと白く輝いていたが、給油所はすでに取り壊されて新しい住宅が建っており、そのあたりをどれだけ探しても、どこにもその痕跡が見つからなかった。(写真は2009年撮影)

tomiJA